これはいわば迂遠な侵略なのだと博士は言った

 これはいわば迂遠な侵略なのだと博士は言った。われわれの記憶、われわれ自身のあり方を書き換えようとする一連の働きなのだと。そして最もたちが悪いことには、書き換えは富める者から順に進行するのだ。
 物語ることのできない物語。彼らは惜しいから話すのではない。彼らを書き換えた物語は、それが完全に異質なものであるがゆえに、彼らの発話機能によっては再現することができないのだ。