前略

車両を歩き前へと向かう。車掌と、誰か女性の声が聴こえる。興味もない相手との関係は切るべきだと声は言う。車窓から世界が見える。ガラスに閉じ込められた、錆びついた金属の骨格。凍てついた町。気がつけば車掌も女性の声も消えていて、僕は体がすっぽり入るだけの鉄の棺桶(その断面は台形である)に身を横たえている。単音から成る物悲しい音楽が聴こえている。世界は終わりを迎えたのだ。