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クレーター

 これも昔書いた詩です。
 どうもヘボだなあと自分では思います。投稿をやるにしてももう少し先になりそうです。

   ***

星は死にかけていた。
生まれてまもない頃、
天空から受け取ったたくさんの熱量は、
いまや枯れようとしていて、
なけなしのラジオアイソトープから放たれる熱は、
ひどく弱々しかった。

かれは星だ。
何事かを感じたり、
ものを考えたりすることはできないのだった。
けれど、
長い時間をかけて冷えてゆくうちに、
内部に複雑な層構造を持つようにはなった。
老いた惑星はみな、かれのように層構造を秘めている。
比重に従って整然と並ぶつめたい鉱物には、
星の一生が保存されているのだ。

傷もまた記憶だというが、
衝突痕は星を星たらしめるひとつの要素だ。
けれど彼は、
天体がまばらな空間に浮かんでいて
しかもわりあい小さな星だったために
めったに衝突は発生しなかった。
小さなかれには水も大気も繋ぎ留めることができなかったから、
表面は褐色の砂塵に覆われてなめらかだった。
そしてなめらかなだけだった。

それでもときおり、
岩塊がかれをかすめる。
本当にまれなことではあるが、
そのまま重力圏にとらわれることもある。

ひとかけらの岩が
コリジョンコースにのり、活動を終えようとする星へと
落ちてゆく。
音もなく衝撃波が広がり、
イジェクタは飛散する。

そうして全てが終わったあとに、
くっきりと衝突痕が残る。