夏への障子

 引っ越しをした。

 家から家にではなくて、部屋から部屋にである。

 世帯構成員に比して部屋が多い。資産家であるとかそういう話ではなく、郊外で中古だとそういうことにもなる。

 今まで使っていた二階の部屋は暑く(熱気が昇るのに加えて、エアコンのリモコンが故障してしまった)一階との行き来が煩雑である。

 一階の和室であれば、そうした気苦労とは無縁であろう。

 エアコンもあるし。

 そういうことで、意気揚々とPCとプリントの類を持ち込んだのだった。

 どうということはなく、普段寝る場所を変えるだけの話なのだけど。

 四畳半の半の部分、中央の正方形の区画が、掘りごたつになっている。布団は取り去られているから、一見こたつには見えない。

 机の部分を使わせていただこう。

 こたつの周囲を囲む四畳の、どれかの部分に布団を敷くか。

 部屋には小学生のノートや教科書、拾われてきた石だとか壊れた玩具が散乱している。

 弟が数年前まで使っていたのだ。

 こたつを覗くと、自作の文字で書かれたメモが出てきたりもし、同じようなことをやったなあと思い出す。

 弟の手が触れたものどもを、脇に寄せていく。

 彼が作った小宇宙をリセットしてしまう。

 そうして掘りごたつ(ただの机だ)にラップトップを乗せて。

 なんとなく、こうしてブログを書いてもみる。

 気分転換になるといいのだけれど。